改正著作権法第35条運用指針について その2
この運用指針では、改正著作権法第35条に規定された用語の定義を具体的な例で示していますが、ここでは更に深掘りしてみたいと思います。
用語の定義③「学校その他の教育機関」
【該当する例】
<幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、高等専門学校、各種学校、専修学校、大学等>
【該当しない例】
<営利目的の会社や個人経営の教育施設、専修学校または各種学校の認可を受けていない予備校・塾>
上記の該当する例、しない例で、学校法人が運営する予備校・塾に関してはどちらに入るのか、わかりづらいかと思います。
実際に運営されている予備校・河合塾を例にすると以下のようになります。
◆学校法人河合塾が認可を受けている東京都内の専修学校(予備校)は以下となります。
専修学校河合塾本郷校(文京区)
専修学校河合塾新宿校(新宿区)
専修学校河合塾池袋校 (豊島区)
専修学校河合塾自由が丘校(目黒区:令和4年開校予定)
専修学校河合塾立川校(立川市)
専修学校河合塾町田校(町田市)
この専修学校に通うのは主として高校を卒業した「浪人生」です。この浪人生向け専修学校は「学校その他の教育機関」に該当しますので、高校や大学と同じように著作権の権利制限が受けられます。
しかし、「現役高校生」向けなど「浪人生」向け以外の講座については、専修学校に該当しませんので、権利制限は受けられません。
「学割」が発行される、されないを判断の基準としてもいいかもしれません。
ちなみに、「東進ハイスクール」を運営する株式会社ナガセは、営利目的の会社なので該当しません(もちろん学割もありません)。
上記の内容をまとめると、
■河合塾において、毎日通学するような浪人生向け講座で使用するテキストでは35条が適用されます。
■河合塾の現役高校生向け講座や、東進ハイスクールの全講座(浪人生・現役生問わず)で使用するテキストは35条が適用されず、著作権者への利用許諾が必要となります。