2023.09.29

著作権の豆知識

「著作物等の利用に関する新たな裁定制度の創設」（令和５年著作権法改正）について

裁定制度が大きく変わります。
　
これまでは権利者が不明で、相当な努力をしても連絡を取ることができない場合に利用できる制度でした。
　
今般の著作権法改正では、権利者が著作権等管理事業者（JASRACや日本文藝家協会など）へ管理の委託をしておらず、かつ利用可否や利用条件についての権利者の意思が明確でない（連絡しても返答がなかったりする場合）著作物についても、この新たな裁定制度利用で3年を上限とする時限的な利用が可能となります（もちろん補償金の支払いはあります）。
　
利用者側にとってみればかなり有利な法改正となっていますが、権利者側は自分の著作物を利用したいと考えている人からの問合せに答えなかった場合、許諾を与えていないのに、この新たな裁定制度によって著作物が勝手に利用されてしまう可能性があります。
　
かなり強引とも思われる制度ですが、文化庁の意向としては、権利者が著作権等管理事業者へ管理委託をしないと大変なことになるよと、権利者に対して管理委託を強く誘導したい制度なのでしょう。
　
この新制度の施行日は公布日（令和5年5月26日）から3年以内に政令で定める日ということですが、インパクトの大きい制度なので色々と問題が出てくるのではないでしょうか。