- 2018.11.27
- 著作権の豆知識
著作権法が変わります ②著作権等侵害罪の一部非親告罪化
改正前の著作権法においては、著作権等を侵害する行為は刑事罰の対象となるものの、これらの罪は親告罪とされており、著作権者等の告訴がなければ公訴を提起することができませんでしたが、今回の改正により,著作権等侵害罪のうち、以下の全ての要件に該当する場合に限り、非親告罪とし、著作権等の告訴がなくとも公訴を提起することができることとしています。
(1)侵害者が,侵害行為の対価として財産上の利益を得る目的又は有償著作物等(権利者が有償で公衆に提供・提示している著作物等)の販売等により権利者の得ることが見込まれる利益を害する目的を有していること
(2)有償著作物等を「原作のまま」公衆譲渡若しくは公衆送信する侵害行為又はこれらの行為のために有償著作物等を複製する侵害行為であること
(3)有償著作物等の提供又は提示により権利者の得ることが見込まれる「利益が不当に害されることとなる場合」であること
これにより、例えばいわゆるコミックマーケットにおける同人誌等の二次創作活動については、一般的には、原作のまま著作物等を用いるものではなく、市場において原作と競合せず、権利者の利益を不当に害するものではないことから、上記(1)~(3)のような要件に照らせば、非親告罪とはならないものと考えられる一方で、販売中の漫画や小説の海賊版を販売する行為や、映画の海賊版をネット配信する行為等については、非親告罪となるものと考えられます。
<文化庁ホームページ:「環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律(平成28年法律第108号)及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律(平成30年法律第70号)について」より>
【解説】
☆著作権法が改正されて、著作権者等からの告訴がなくても以下「3つの要件」に該当する場合に限り、公訴を提起できるようになります
☆この改正法は2018年12月30日に施行されます
「3つの要件」とは
要件1.著作権の侵害者が対価を得ることを目的としている場合
要件2.権利者の利益を害することを目的としている場合
要件3.権利者の利益が不当に害されることとなる場合
<具体例>
漫画や小説の海賊版を販売、映画の海賊版をインターネットで配信 ⇒ 非親告罪(アウト)
アニメや漫画などの同人誌をコミックマーケットで販売 ⇒ 非親告罪の対象外(セーフ)